旧水部とは?意味と、旧河道・埋立地との違いを地図で確かめる
旧水部は、湖や沼、海などを盛土や埋立、干拓で人工的に陸にした土地を表す、国土地理院の地形分類の用語です。旧河道や埋立地とどう違うのかを定義の原文で整理し、東京23区のどこに水だった土地が多いかを地図データで確かめました。
地形分類の地図を見ていると、「旧水部」という言葉が出てくることがあります。国土地理院の「数値地図25000(土地条件)」で使われている用語で、昔は水面だった場所が、いまは陸になっている土地を表します。
この記事では、旧水部の定義を国土地理院の原文で確かめ、よく似た「旧河道」「盛土地・埋立地」「干拓地」との違いを整理します。あわせて、東京23区のどこに、昔は水だった土地が多いのかを地図データで見てみます。
※この記事は公開情報の紹介です。特定の土地の評価や、購入・建築の可否についての助言ではありません。
国土地理院の定義
国土地理院の「数値地図25000(土地条件)」の凡例では、旧水部は「水部」の見出しの下にあり、次のように説明されています(出典: 国土地理院)。
湖沼、海、貯水池などを盛土、埋立、干拓等により人工的に陸化したもの。
ポイントは「人工的に」という部分です。もとは湖や沼、海、貯水池だった場所を、人が土を盛ったり、埋め立てたり、水を干したりして陸にした土地が旧水部です。
旧河道・盛土地・干拓地との違い
同じ凡例には、旧水部とよく似た用語がいくつかあります。原文を並べると、違いが分かりやすくなります(出典: 国土地理院)。
| 用語 | 凡例の見出し | 定義(原文) |
|---|---|---|
| 旧水部 | 水部 | 湖沼、海、貯水池などを盛土、埋立、干拓等により人工的に陸化したもの。 |
| 旧河道 | 低地の微低地 | 谷底平野・氾濫原及び海岸平野・三角州上にあって、過去の河川流路の跡。 |
| 盛土地・埋立地 | 人工地形 | 山地、台地、低地及び水部に土を盛って造成された平坦地または傾斜地。 |
| 干拓地 | 人工地形 | 水部を干して陸地化した土地。 |
旧河道との違いは、もとが「川の流れた跡」か「湖や沼、海などの水面」か、という点です。旧河道は、凡例では「低地の微低地」の見出しの下にあり、人工地形には入っていません。
盛土地・埋立地は、土を盛った場所の全般を指し、もとが水部とは限りません。山地や台地を造成した土地も含みます。干拓地は、水部の水を干して陸にした土地です。旧水部の定義には「盛土、埋立、干拓等により」とあるので、もとが水面だった土地を、陸にした方法を問わずにまとめて表す用語と読めます。
水だった土地と災害の関係
国土地理院は、2026年7月に公開した解説で、盛土地・埋立地について次のように書いています(出典: 国土地理院)。
かつて水域だった場所を埋め立てたり、造成のために土を盛ったりした「盛土地・埋立地」は、地震時に揺れやすく、液状化が非常に発生しやすい傾向があります。
同じ解説では、旧河道についても「河川の氾濫や高潮による浸水のほか、強い地震による液状化のリスクがあるといわれています」としています。
東京23区で、水だった土地はどこに多いか
ここからは地図データで見てみます。使ったのは、防災科学技術研究所のJ-SHISが公開している微地形区分(250mメッシュ)です。国土地理院の土地条件図とは別の分類ですが、全国を同じ基準で区分していて、「埋立地」や「旧河道・旧池沼」の区分があります。
東京23区の町丁目3,151件(2020年国勢調査の小地域)ごとに、範囲の中でいちばん広い微地形を調べました。
| 主な微地形 | 町丁目の数 | 多い区 |
|---|---|---|
| 埋立地 | 147 | 江東区 54、大田区 33、中央区 22、港区 15、品川区 15 |
| 旧河道・旧池沼 | 30 | 足立区 14、葛飾区 11、板橋区 2 |
埋立地は、東京湾に面した区に集まっていました。江東区・大田区・中央区・港区・品川区で、147件のうち139件を占めます。たとえば大田区の平和島は、一丁目から六丁目まで、6件とも範囲の全体が埋立地でした。
旧河道・旧池沼のほうは、足立区と葛飾区で30件のうち25件を占めます。こちらは海ではなく、川や池の跡です。昔は水だった土地といっても、湾岸の埋立地と、内陸の川や池の跡とでは、場所がはっきり分かれていました。
地図での調べ方
国土地理院の「数値地図25000(土地条件)」は、地理院地図のメニュー「土地条件図」の中にある「数値地図25000(土地条件)」で見られます(出典: 国土地理院)。整備されている範囲は地域によって違います。
昔の水面の位置は、古い地形図と今の地図を並べて見る方法でも確かめられます。調べ方の手順は、地歴調査を自分でやる方法にまとめています。川の跡については旧河道とは、海を埋め立てた土地については埋立地の調べ方で扱っています。
地図でわかること、わからないこと
地形分類の地図で分かるのは、その土地がもともと水面だったかどうか、という成り立ちです。どれくらい盛土をしたのか、地盤の改良をしたのかといった、個々の土地の状態までは分かりません。また、メッシュや縮尺の都合で、小さな池の跡などは表れていないことがあります。
出典・参考
- 国土地理院「数値地図25000(土地条件)」: https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000.html
- 国土地理院「これでわかる!身の回りの自然災害リスク ~北海道などの地形分類データ「数値地図25000(土地条件)」を公開~」(2026年7月1日): https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_topic_20260701_00001.html
- 国土地理院「土地条件図」: https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_report.html
- 防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション「表層地盤データ(微地形区分)」を加工して作成: https://www.j-shis.bosai.go.jp/
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「境界データ(2020年国勢調査 小地域)」を加工して作成: https://www.e-stat.go.jp/gis
- 地図
- 国土地理院 地理院タイル(淡色地図)を加工して作成
- 文・分析
- uuta_map
- 公開
- 2026年10月20日
本記事は公開データにもとづく検証の記録です。特定の場所についての評価や助言ではありません。データや制度は更新されることがあるため、実際にご利用の際は最新の一次情報をご確認ください。


