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マンションの修繕積立金はいくらが目安か|国のガイドラインの数字で整理する

2026-08-08 公開 ・ 執筆: uuta_map

中古マンションの販売図面には、価格の下に小さく「修繕積立金 ◯◯円/月」と書かれています。ただ、この金額だけを見ても、高いのか安いのか、将来どうなるのかは分かりにくいものです。実は国土交通省が、修繕積立金の「目安」を数字で公表しています。この記事では、その目安額と、目安を実際の物件に当てはめるときに論点になりやすい点を、公的資料をもとに整理します。

※この記事は公開情報の紹介であり、特定の物件の評価や、購入の可否についての助言ではありません。

修繕積立金とは何のお金か

修繕積立金は、外壁・屋上・エレベーターといった共用部分の計画的な修繕工事のために、区分所有者が毎月積み立てるお金です。国土交通省のガイドラインでは、将来予想される修繕工事を盛り込んだ「長期修繕計画」を作り、それに基づいて月々の積立額を設定することが重要とされています。

毎月の「管理費」とは別のお金です。管理費は日常の維持管理(清掃・管理員・共用部の電気代など)に使われ、修繕積立金は将来の修繕工事のために貯めておく、という役割の違いがあります。

論点1: 国のガイドラインが示す「目安額」

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定・令和6年6月改定)で、実際に作成された長期修繕計画366事例を集めて、専有面積1㎡あたりの月額の目安を示しています。

地上階数/建築延床面積平均値事例の3分の2が収まる幅
20階未満・5,000㎡未満335円/㎡・月235〜430円/㎡・月
20階未満・5,000〜10,000㎡未満252円/㎡・月170〜320円/㎡・月
20階未満・10,000〜20,000㎡未満271円/㎡・月200〜330円/㎡・月
20階未満・20,000㎡以上255円/㎡・月190〜325円/㎡・月
20階以上338円/㎡・月240〜410円/㎡・月

*出典: 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。機械式駐車場の分を除いた金額*

たとえば専有面積70㎡・20階未満・延床5,000〜10,000㎡のマンションなら、252円 × 70㎡ = 月額17,640円 が平均値ベースの目安になります。小規模(延床5,000㎡未満)だと335円 × 70㎡ = 月額23,450円、タワーマンション(20階以上)だと338円 × 70㎡ = 月額23,660円。戸数が少ない小規模マンションと超高層は、1戸あたりの負担が重くなる傾向が数字に表れています。

なお、機械式駐車場があるマンションは、この目安に修繕費が別途加算されます。ガイドラインでは機種ごとの目安も示されており、たとえば2段(ピット1段)昇降式で1台あたり月6,450円。これを台数分合計し、総専有床面積で割った額が上乗せされる計算です。

論点2: 目安は「計画期間全体の平均」であって「今の徴収額」ではない

ここがいちばん誤解されやすい点です。ガイドラインの目安は、長期修繕計画の期間全体(数十年)でならした平均額です。一方、販売図面に載っている金額は「今月の徴収額」です。

多くのマンションは「段階増額積立方式」を採用しており、新築時は安く設定し、築年数の経過とともに引き上げていきます。つまり、築浅の物件で「図面の金額が目安より安い」のは、将来の値上げが予定されているだけ、というケースが少なくありません。目安と比べる相手は今の徴収額ではなく、長期修繕計画に書かれた「計画期間全体の平均」だ、という読み方になります。

論点3: 実際の平均は月13,054円(令和5年度調査)

では実際のマンションはいくら集めているのか。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、1戸あたりの修繕積立金の月額は平均13,054円(駐車場使用料等からの充当額を含む総額では13,378円)でした。前回調査(平成30年度)から月1,800円ほど上がっており、修繕工事費の上昇を背景に、積立額の水準自体が切り上がってきています。

平均13,054円という数字は、論点1の目安(70㎡で17,000〜23,000円台)より低く見えます。これは、段階増額方式でまだ引き上げ途中のマンションや、目安より低い水準で積み立てているマンションが相当数含まれているためと読めます。「みんなの平均に合っているから十分」とは言い切れない構図がここにあります。

論点4: 引き上げ幅にも「目安」ができた(令和6年6月改定)

令和6年6月の改定では、段階増額積立方式の引き上げ方についても目安が示されました。均等に積み立てた場合の月額を「基準額」として、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする、という考え方です。

これは、当初の積立額を安く見せすぎると、あとで大幅な値上げが必要になり、区分所有者の合意が取れずに積立不足へつながる——という実際に起きている問題を踏まえたものです。裏を返すと、今の徴収額が計画全体の平均の6割を大きく下回っている物件は、国の目安から外れた急勾配の値上げカーブを前提にしている、という見方ができます。

論点5: 「安すぎる」場合に何が起こりうるか

修繕積立金が安いことは、月々の負担が軽いという意味では買い手に有利に見えます。ただ、ガイドラインでは、将来の負担増を前提とする積立方式について「増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例も生じている」と明記されています。積立が不足した場合に取られるのは、おおむね次のような選択肢です。

どれも結局は所有者の負担か、建物の状態に返ってきます。「今安い」は「トータルで安い」を意味しない、という整理になります。

販売図面のどこを見るか

以上を踏まえると、図面の「修繕積立金 ◯◯円」の一行に対して、次のような点を確認する例が多いようです。

  1. 専有面積で割って㎡単価にする — ガイドラインの目安(論点1の表)と桁感を比べられる形にする
  2. 長期修繕計画で「将来いくらになる予定か」を見る — 今の金額より、計画上の平均額・最終額のほうが目安と比べる相手として適切
  3. 積立金の残高と、直近の大規模修繕の実施状況 — 重要事項調査報告書などで確認できる項目
  4. 機械式駐車場の有無 — 空き区画が多いと使用料収入が減り、修繕費だけが残る構造になりやすい

管理の実態まで含めた見方は管理状態の見分け方で、購入後にかかるお金の全体像はマンションを買ったあとにかかるお金で、それぞれ整理しています。

よくある質問

Q. 修繕積立金の目安はいくらですか?国土交通省のガイドラインでは、専有面積1㎡あたり月額170〜430円程度(機械式駐車場分を除く)の範囲で、建物の階数・延床面積ごとに平均値と幅が示されています。70㎡なら月額おおむね1.7万〜2.4万円(平均値ベース)に相当します。ただしこれは計画期間全体の平均であり、今月の徴収額と単純比較できない点に注意が要ります。

Q. 修繕積立金が安いマンションは買い得ですか?月々の負担が軽い一方で、段階増額方式で将来の値上げが予定されているだけの場合や、積立不足で将来の一時金徴収・工事先送りにつながる場合があります。「今の金額」ではなく長期修繕計画上の将来額と積立残高をあわせて見る、という考え方が公的資料では示されています。

Q. 修繕積立金は今後も上がりますか?個々のマンションによりますが、令和5年度マンション総合調査では平均月額が13,054円と前回調査から大きく上昇しており、工事費の上昇を背景に全体の水準は切り上がる傾向にあります。段階増額方式のマンションでは、計画に沿った引き上げが予定されていることが一般的です。

毎月の総負担に落とし込んで比べる

修繕積立金は、ローン返済・管理費・税金と並ぶ「ずっと続くお金」の一部です。ここスコアでは、価格とローンの前提に加えて管理費・修繕積立金を入力すると、毎月の総負担を内訳つきで表示します。候補ごとに並べると、「積立金が高い物件」が総額では割安に見える、といった逆転も含めて比べられます。あわせて「月々いくら」を正しく出す買っていい築年数の考え方もどうぞ。

出典・参考

候補の物件を、住むほうも持つほうも中立に採点してみる

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※ 本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の物件の購入を推奨・非推奨するものではありません。制度・税制は変わることがあり、適用要件はご自身で最新の一次情報をご確認ください。購入の判断はご自身の責任でお願いします。