COLUMN

中古マンションの住宅ローン控除、築年数で変わる条件を整理する

2026-08-21 公開 ・ 執筆: uuta_map

中古マンションを探していると、「築古だと住宅ローン控除は使えない」という話をよく見かけます。この理解は、かつての制度をもとにしたものとしては誤りではありませんが、現在の制度とは一致していません。2022年度の税制改正で、住宅ローン控除における中古住宅の築年数要件は廃止され、別の基準に置き換わっているためです。ここでは、何が変わり、旧耐震基準の物件がどういう条件で対象になりうるのかを整理します。

論点1: 「築年数要件」はもう存在しない

2022年度の税制改正より前は、中古住宅が住宅ローン控除の対象になるかどうかは築年数で線引きされていました。具体的には、耐火建築物(マンションなど)は取得の日以前25年以内、非耐火建築物(木造住宅など)は20年以内に建築されたものであることが要件でした。

この築年数要件は2022年度改正で廃止され、昭和57年1月1日以降に建築された家屋であること(=新耐震基準に適合しているとみなされる建築時期であること)を基準とする要件に統合されています。つまり現在の制度は「築何年か」ではなく「新耐震基準に適合しているか」で判定する仕組みになっています。マンションで言えば、建築確認の時期次第で昭和56年以前に竣工した物件も存在しますが、その場合でも一律に対象外というわけではありません。

論点2: 昭和56年以前の建物でも、証明書の取得で対象になりうる

昭和56年12月31日以前に建築された家屋であっても、次の3つのいずれかを取得することで新耐震基準に適合するものとみなされ、住宅ローン控除の対象になりえます。

  1. 取得の日前2年以内に取得した耐震基準適合証明書
  2. 取得の日前2年以内に取得した、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)1・2・3のいずれかに該当する建設住宅性能評価書
  3. 取得の日前2年以内に締結された、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書

いずれも「取得の日前2年以内」という期限が付いている点が共通しています。旧耐震の物件を検討する場合、対象になるかどうかは建物の築年数そのものではなく、こうした証明書・評価書・保険の付保が取得できるかどうかにかかっている、という整理になります。

論点3: 床面積の要件は現行では50㎡以上

住宅ローン控除には床面積の要件もあります。中古住宅(既存住宅)の場合、現行(令和4年〜7年)の要件は登記事項証明書に記載された床面積が50㎡以上であることです。マンションでは専有部分の面積が対象になります。

新築住宅には、合計所得金額1,000万円以下の場合に床面積要件を40㎡以上に緩和する特例がありますが、この特例は新築住宅に限られており、中古住宅(既存住宅)は対象外です。中古マンションを検討する際、床面積が50㎡をわずかに下回る物件は、新築で見られる緩和の対象にはならない点に注意が必要です。

なお、2026年度税制改正大綱では、既存住宅の床面積要件についても新築同様40㎡以上へ緩和する方針が示された、との報道があります。ただし施行時期を含む詳細はまだ確認できておらず、現時点では検討段階の情報として扱う必要があります。

論点4: 所得要件と、区分ごとの借入限度額・控除率・控除期間

住宅ローン控除全体にかかる所得要件は、合計所得金額2,000万円以下です。

そのうえで、中古住宅は性能区分によって借入限度額が分かれています。令和4年〜7年に居住を開始した場合の内容は次の通りです。

区分借入限度額控除率控除額上限(年)控除期間
その他の住宅2,000万円0.7%14万円10年
認定住宅等(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)3,000万円0.7%21万円10年

「その他の住宅」は、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅のいずれにも該当しない中古住宅を指す区分です。中古マンションの多くはこちらに当てはまりますが、省エネ性能などの認定を受けている物件は上段の区分に該当し、借入限度額が広がります。

なお、新築住宅は中古住宅とは別区分として定められており、借入限度額や控除期間(最長13年など)も中古住宅とは異なります。中古と新築を同じ表で比較する際は、区分そのものが違う制度であることを踏まえておく必要があります。

論点5: 築年数からの読み替えを、どこで止めるか

ここまでの整理をまとめると、中古マンションの住宅ローン控除は「築年数」という単一の指標ではなく、「新耐震基準への適合」という基準に置き換わっており、昭和56年以前の建物でも証明書等の取得によって適合とみなされる道が用意されています。あわせて床面積・所得・区分ごとの借入限度額という複数の要件が組み合わさって、控除額が決まる構造になっています。

「築古だから対象外」という理解で検討対象から外してしまうと、証明書の取得によって対象になる物件を見落とす可能性があります。逆に「新耐震基準に適合していれば無条件で控除が使える」というわけでもなく、床面積や区分ごとの限度額といった条件が別途かかってきます。築年数はあくまで、新耐震基準への適合を確認する入り口の一つという位置づけとして捉えることができます。

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※ 本記事は一般的な考え方の紹介であり、個別の物件の購入を推奨・非推奨するものではありません。制度・税制は変わることがあり、適用要件はご自身で最新の一次情報をご確認ください。購入の判断はご自身の責任でお願いします。