バブル期の地価に戻った土地は、1,648か所のうち2か所だけだった
1991年と2024年の両方に公示地価がある関東の1,648地点を追いかけると、バブル期の水準に戻っていたのは2か所(0.1%)で、中央値は0.45倍でした。その2か所は同じ街にあり、底を打った年も共通しています。地価公示のデータで34年分の動きを調べました。
バブルが崩れてから34年がたちました。「東京の地価はもうバブル期を超えた」という話を聞く一方で、「実家の土地は当時の半分もしない」という話も聞きます。どちらも本当だとすると、戻った土地と戻っていない土地の境目はどこにあるのでしょうか。
この記事では、国土交通省の地価公示を使って、同じ土地の値段を1991年から2024年まで追いかけました。
調べ方
使ったのは、国土数値情報の地価公示(L01)です。関東の1都6県で、1991年と2024年の両方に価格がある同じ地点だけを抜き出しました。該当したのは1,648地点です。
この抜き出し方では、見えるものと見えないものがはっきり分かれます。
- 同じ地点を追うので、1991年に調査地点がなかった場所は対象に入りません。あとから開発されて値上がりした新しい街は、この方法では見えません。
- 見えるのは、当時から調査され続けている土地がいまどうなっているかです。
「いまいちばん高い土地はどこか」という順位の話とは、比べているものが違います。この二つは分けて読む必要があります。

まず結果です。1991年の水準に戻っていたのは2地点で、全体の0.1%でした。
全体の中央値は0.45倍で、当時の半分に届いていません。25%点が0.34倍、75%点が0.54倍なので、大半の地点が3〜6割の範囲に収まっています。
地図にすると、バブル期の3割に届かない青い点は東側に多く、6割以上の赤い点は都心から南西側に多くなりました。色の違いは都心からの距離だけでは説明がつかず、同じくらいの距離でも差が出ています。
都県別の中央値は、神奈川0.52、東京0.50、栃木0.48、群馬0.45、埼玉0.42、茨城0.37、千葉0.30です。いちばん戻っていないのは千葉でした。

戻っていた2地点は、どちらも茨城県守谷市百合ケ丘にありました。
そのうちの1地点は、1991年に11万4,000円でした。2005年に5万9,300円まで下がって底を打ち、2010年に9万9,100円、2020年に11万2,000円と戻して、2024年には14万円になっています。
底になった2005年は、つくばエクスプレスが開業した年です。守谷市で34年分のデータがそろう3地点は、すべて同じ年に底を打っていました。
比較のために、1991年にほぼ同じ価格(11万5,000円)だった栃木県小山市若木町の地点を重ねました。こちらは下がり続けて、2024年は3万5,800円(0.31倍)です。出発点がほぼ同じだった二つの土地で、その後の動きが分かれた時期は、新しい鉄道の開業と重なっています。

期間を直近の10年(2014年から2024年)に絞ると、様子が変わります。対象は4,778地点で、上がった地点は62.3%、中央値は1.05倍でした。34年の図では東側に青い点が多かったのに対し、10年の図は都心を中心にした同心円に近い形になります。
都心までの乗車時間で分けると、その形がはっきりします。20分未満は1.30倍で99.5%が上昇、30分台は1.09倍で82.1%が上昇、60〜90分は0.98倍で42.1%が上昇でした。90分以上は0.93倍で、上がったのは16.7%です。
駅からの距離でも同じ傾向です。500m以内は1.18倍で81.1%が上昇、1〜2kmは1.02倍で56.3%、2km以上は0.94倍で23.6%でした。

もう一つ分かったのは、2014年の時点で高かった土地ほど、その後も上がっているという関係です。
2014年に上位20%だった土地は、10年で1.29倍になり、すべての地点が上昇しました。下位20%は0.92倍で、上がったのは10.8%にとどまりました。
「下がりきった土地ほどいずれ戻る」という動きは、このデータには出ていません。1991年比の値と直近10年の変化の相関は−0.077で、ほぼ無関係です。
数字の一覧
34年分(1991年→2024年・1,648地点)の結果は次のとおりです。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 1991年比の中央値 | 0.45倍(10%点0.27/25%点0.34/75%点0.54/90%点0.62) |
| バブル期に戻った地点 | 2地点=0.1%(茨城県守谷市百合ケ丘) |
| 都県べつ(中央値) | 神奈川0.52・東京0.50・栃木0.48・群馬0.45・埼玉0.42・茨城0.37・千葉0.30 |
| 区市べつ | 目黒0.61・練馬0.60・杉並0.55・世田谷0.53・大田0.48/港0.41・中央0.44・新宿0.38/柏0.30・つくば0.33 |
| いちばん落ちた | 北相馬郡利根町 15万2,000円→1万4,800円(0.10倍)/千葉市緑区越智町0.13/佐倉市千成0.14 |
| 名の知れた街 | 多摩市0.31・八王子0.36・浦安0.43・田園調布0.41・吉祥寺0.59 |
港区・中央区・新宿区は0.4前後で、目黒区・練馬区・杉並区より低くなっています。都心の区はバブル期の上がり方が大きかったぶん、同じ地点で比べると戻りきっていない、という読み方ができます。
10年分(2014年→2024年・4,778地点)の結果は次のとおりです。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 上がった地点 | 62.3%/中央値1.05倍 |
| 都県べつ | 東京1.20倍・90.0%/千葉1.07・69.9%/神奈川1.05・66.9%/埼玉1.03・64.0%/茨城0.94・14.9%/群馬0.93・16.8%/栃木0.91・15.6% |
| 市区町村トップ | 港1.53・品川1.53・豊島1.53・荒川1.52・君津1.51・文京1.48・目黒1.47 |
アクアラインの出口に近い地点
10年分の市区町村別の上位に、君津市(1.51倍)が入っています。都心の区に混じって、房総半島の市が上位にあります。
アクアラインの出口から10km以内の地点は97%が上昇して1.25倍、10〜20kmの地点は63%が上昇して1.07倍でした。出口からの距離との相関は−0.270です。これらの地点は都心までの乗車時間が101〜109分でほぼ同じなので、電車の便の違いでは説明がつきません。木更津市も1.32倍でした。
守谷市ではつくばエクスプレスの開業と時期が重なっていましたが、ここでは道路が関係しているように見えます。
この分析の限界
数字の読み方に関わるので、限界も書いておきます。
- 地価公示は、その地点の価格です。同じ市区町村でも地点が違えば結果は変わるので、市区町村の代表値として読むことはできません。
- 同じ地点を追う方法なので、新しく調査対象になった土地は見えません。再開発で大きく変わった街の値上がりは、今回の対象には入っていません。
- 相関は因果ではありません。つくばエクスプレスとアクアラインの話は、時期と分布が一致しているという観察で、それだけで原因だと言えるわけではありません。
- 公示地価は、実際の取引価格とは別のものです。
自分の街で確かめるなら
今回見たのは土地の値段でした。その場所のまわりに何人住んでいて、どの年代が多いのかも、公開されている統計から調べられます。
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- 公開
- 2026年10月12日
本記事は公開データにもとづく検証の記録です。特定の場所についての評価や助言ではありません。データや制度は更新されることがあるため、実際にご利用の際は最新の一次情報をご確認ください。


